アイヌの人たちが先住民族としてサケ漁をする権利の回復を求める有志の団体が、これまでに集めた鈴木知事にあてた5000人余りの署名を提出しました。
「アイヌ(=ひと)の権利をめざす会」は行政の許可をえずに川でサケ漁をしたとして去年、書類送検され、その後、不起訴になった紋別アイヌ協会の畠山敏さんを支援しようと、アイヌの人たちが先住民族としてサケ漁をする権利の回復を求める署名活動を行ってきました。
会の共同代表らが15日に道庁を訪れ、鈴木知事にあてた5044人分の署名を提出しました。
共同代表を務める貝澤耕一さんは「人権の問題として署名してくれたことに非常に感謝している。署名はまだ続けるので引き続き応援してほしい」と話していました。
アイヌの人たちによるサケ漁をめぐっては、おととし施行されたアイヌ施策推進法でも特別な配慮を求めたことから、道は去年4月、漁の申請手続きを簡素化していますが、許可が必要な状況に変わりはなく不十分だとの指摘も出ています。
会では引き続きインターネットなどで署名を集めることにしています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20210315/7000031795.html
北海道紋別市の藻鼈(もべつ)川河口で5日、サケを迎えるアイヌ民族の伝統儀式「カムイチェプノミ」があった。紋別市や浦幌町のアイヌの人たちの中には「サケを捕るのは先住民族の権利」と強く訴えてきた人たちがいる。この日集まった道内外のアイヌの人たちは、「先住権」を求める意見書と署名を今年度中に国と道に提出することを確認した。
北海道の紋別アイヌ協会は5日、紋別市で新しいサケを迎える伝統儀式「アシリチェプノミ」を行った。昨年は畠山敏会長(78)が、先住民族の権利だとして道に許可申請せずに儀式用のサケを捕獲。道警が道内水面漁業調整規則違反容疑などで書類送検し、旭川地検が不起訴とした。今年は畠山会長が入院中で、参列者が持参したサケを使用した。
2020年7月20日HBC「今日ドキッ!」で放送。
https://www.hbc.co.jp/news/32828f5809adc13037dce609a6bcead7.html
無許可でサケ漁“今後も継続”
07月07日 04時29分
川のサケ漁は先住民の権利だと主張し、道の許可を得ずに漁をした疑いで書類送検され、その後不起訴になったアイヌの男性が取材に応じ、今後も権利の保障を求めて活動を続ける考えを明らかにしました。
「紋別アイヌ協会」の畠山敏会長(78)は川でサケを取るのは先住民の権利だと主張して去年、紋別市内の川で許可を得ずに漁を行い、道の内水面漁業調整規則などに違反した疑いで書類送検されました。
6月30日、旭川地方検察庁は畠山さんを含む3人について不起訴にしました。
検察庁は不起訴の理由を明らかにしていませんが、関係者によりますと起訴猶予とみられます。
畠山さんは6日、入院先の北見市の病院で取材に応じ、「不起訴で終わりとなる問題ではない。納得できないという強い思いがある」と述べました。
その上で「サケを取って行う儀式は私の命がある限り続けたいし、もっと強く先住権について争っていきたい」と述べ、今後も権利の保障を求めて活動を続ける考えを明らかにしました。
一方、告発した道は今年度から漁の手続きを緩和しましたが、「サケ漁が許可制であることに変わりはない。今後も無許可の漁については指導していく」としていて、あくまでも法令の順守を求める姿勢を示しました。
無許可サケ漁行った3人不起訴に
06月30日 18時02分
川のサケ漁は先住民の権利だと主張し、行政の許可を得ずに紋別市内で漁をした疑いで書類送検されたアイヌの男性など3人について、検察庁は30日、全員不起訴にしました。関係者によりますと、いずれも起訴猶予とみられます。
不起訴になったのは「紋別アイヌ協会」の畠山敏会長(78)など3人です。
3人は川でサケを取るのは先住民の権利だと主張して、去年、紋別市内の川で行政の許可を得ずに漁を行い、道の内水面漁業調整規則などに違反した疑いでことし2月に書類送検されていました。
その後、旭川地方検察庁が起訴するかどうか捜査を進めていましたが、30日に3人全員を不起訴にしました。
検察庁は不起訴の理由を明らかにしていませんが、関係者によりますといずれも起訴猶予とみられます。
今回の問題をめぐっては、去年施行されたアイヌ施策推進法を踏まえて、サケ漁を先住民の権利として認めるよう求める意見書が道に提出されるなど、議論が起きていました。
アイヌの男性が先住民の権利を訴えて、行政の許可を得ずに川でサケ漁をしたとして書類送検された問題で、有志の団体が男性を支援するために署名活動を始めることになりました。
「アイヌの(=ひと)の権利をめざす会」は、先住民の権利だと訴えて行政の許可を得ずに川でサケ漁をしたとして、先月に書類送検された紋別アイヌ協会の畠山敏さんを支援しようと設立されました。
共同代表の貝澤耕一さんや宇梶静江さんらは27日、札幌市内で会見し、安倍総理大臣や鈴木知事に向けたアイヌによるサケ漁の権利回復を訴える署名活動を始めると発表しました。
貝澤さんは「行政側は規則があるから従えというだけで、依然として何も変わらない。勇気ある行動に対して団結力をみせたい」と述べました。
アイヌのサケ漁をめぐっては、国連の委員会が天然資源などに関する権利が十分に保障されていないと指摘しているほか、去年施行されたアイヌ施策推進法でも特別な配慮を求めています。
道はサケ漁の申請手続きを緩和する方針を示していますが、許可が必要な状況に変わりはなく、先住民の権利の保障と法令の順守をめぐる議論は今後も続きそうです。
昨年のラグビーワールドカップで話題になったニュージーランド代表のハカは、先住民族マオリの舞踊として名高い。
マオリ語は消滅の危機にあったが、1970年代から復興運動を始め、マオリ語による幼児教育を行い、87年に公用語になった。
幼稚園から大学まで学習環境が整えられ、日常会話を話せる人も増えている。土地の返還や補償など権利回復も進んだ。
米国では自治権や居留地での狩猟や漁労が認められ、フィンランドには先住民族の議会がある。カナダでは、政府が先住民族と交渉し、多くの土地が返還された。
道内では昨年、サケの捕獲を先住民族の権利だとするアイヌ民族と、許可のない捕獲は法律違反だとする道が対立する事例が論議を呼んだ。アイヌ民族の権利回復はまだまだ遅れている。
国連宣言は、文明や文化の多様性や豊かさが「人類の共同遺産を成す」とうたっている。国民一人一人が理解を深め、多文化共生への取り組みを前進させなければならない。
(抜粋。全文はこちらから)