私たちは、紋別アイヌ協会の勇気ある行動に共感し、応援します。

2019年9月1日、紋別市藻鼈(モベツ)川で、紋別アイヌ協会(畠山敏会長)はアシリチェプノミ(新しい鮭を迎える儀式)用の鮭を捕獲しました。紋別アイヌ協会は事前に鮭を採ることを口頭で振興局に伝えていましたが、振興局からは、「規則の定めるとおり特別採捕許可申請書類を知事に提出し、許可が下りてからにしてほしい」と回答がありました。それに対して紋別アイヌ協会は、先住民族の権利を主張するために、採捕を実行しました。

私たちは、紋別アイヌ協会の勇気ある行動に共感し、応援します。

 

私たちは、太古の昔から、自然の恵みを生業としてきました。先人たちは常に神々に断りを入れ、生活に必要な木や草、鹿や鮭をいただき、その恵みに感謝しながら生きてきました。そして、それは代々受け継がれてきました。

 

ところが、突然海を渡ってきた人たちは、なんの断りもなく、ここに住んでいた私たちを無視して、土地を奪い、生活を奪い、文化をも奪いました。私たちは、それまでと同じく、自然からの恵みで生活しようとしましたが、それは私たちの気づかないうちに、法律違反とされ、違反すると罰せられました。長い間先人たちが培った生活の知恵や、決まりごとは無視されて、圧倒的な数の差によって、日本国の法律を押しつけられてしまい、多くのアイヌたちは抵抗もできないままに、その生業を変えていかざるを得ませんでした。

 

1984年、北海道ウタリ協会が政府に要求した「アイヌ新法案」の中で、アイヌの権利についての実情を訴えました。1997年にアイヌ文化振興法が、さらに2019年に同法に代えてアイヌ施策推進法が制定されましたが、先住民族としてのアイヌの権利には触れられていませんでした。

 

そんな中で、紋別アイヌ協会が、先住民族アイヌとして、正々堂々と鮭を採ったことに感動しました。私たちアイヌが鮭を採るための許可を得る必要があるのは、水の神であり、鮭の神、大自然の神たちだけであります。

 

アイヌモシㇼに勝手に入り込み、数が多いからと勝手に決まりごとを押しつけてきた多数者、せめて、海、川、山での生活に必要なものは自由に採ってもいいのではないでしょうか!

 

紋別アイヌ協会の先住民族としての権利を求める行動に賛同し、協力し、アイヌ民族として権利を主張します。

 

2020年3月15日

 

アイヌ(=ひと)の権利をめざす会 

共同代表 貝澤耕一/宇梶静江/萱野志朗/田澤守/OKI